セクハラ(セクシャル・ハラスメント)は、一般に、「相手方の意に反する性的言動」と定義されています。したがって、セクハラが不法行為上の違法性があるとまでは言えなくても、被害者は、使用者に対し、その主観に基づき必要な措置をとるよう要求することができます。また、セクハラが常識からみて相当性を逸脱している場合は、不法行為(民法709条)による民事上の損害賠償請求が可能です。具体的には、直属の上司や会社に対し、精神的苦痛に対する慰謝料、医療費、(退職を余儀なくされた場合は)逸失利益(退職しなければ得られたであろう賃金相当額)などを請求することができます。
また、ミスをした部下にある程度の注意や叱責をすることは、それが真に業務の円滑な遂行を目的としている場合は、直ちに違法視することはできません。しかし、叱責等が、上司の私情に基づいていたり、(その社員を辞めさせたいといったような)使用者の意向を反映したものであったりする場合には、いわゆるパワハラ(パワー・ハラスメント)行為による人格権の侵害を理由に、直属の上司が不法行為責任(民法709条)を負い、会社も使用者責任(同715条)を負う可能性があります。具体的には、上司や会社に対し、精神的苦痛に対する慰謝料、医療費、(退職を余儀なくされた場合は)逸失利益(退職しなければ得られたであろう賃金相当額)などを請求することができます。 ただし、認められる慰謝料額は、60万~80万円というのが相場です。